重曹って何?

重曹と書いて「じゅうそう」と読みます。
スーパーへ買い物に行くと小麦粉やホットケーキミックスと同じ棚に並んでいるので、食材の一つだということはわかりますが、なんとなく手に取りづらい印象を受ける名前です。
文字面だけ見ると、工場で使われる化学物質のようにも見えてきます。
いったい重曹って何なのでしょう? なぜこんな重苦しい名前が付いているのでしょう?

重曹は万能選手

重曹は食品としてはあく抜きのために使われたり、ふくらし粉・ベーキングパウダーの代用としても使われます。
口に入れても問題のない物質です。
それと同時に、シンクやガス台の汚れ落としのためにも使われます。
食用としても、洗剤としても大活躍の万能選手です。

重曹の正体は炭酸水素ナトリウム。天然の無機質物質です。
鉱山から産出される物質であり、ガラスを作る時の副産物としても精製されます。
国産の重曹でAGC(旭硝子)製のものが目立つのもこのためです。
体内にも重曹と同じ物質は存在しています。例えば、唾液の中にも炭酸水素ナトリウムが含まれています。
だから、重曹は口に入れても安全なんですね。

どうして「重曹」という名前なの?

では、なぜわざわざ「重曹」なんて重苦しい名前が付けられたのでしょう?

炭酸水素ナトリウムが自然の湧水に含まれているのが炭酸水です。温泉にも炭酸水素ナトリウムが含まれているものがあります。
オランダ語で炭酸水は「ソーダ」。炭酸飲料の代名詞になっている、あのソーダです。
ソーダを漢字にすると「曹達」。
「重曹」の「曹」は、ソーダ、炭酸水の漢字表記「曹達」に由来ていることがわかりますね。

次に「重」ですが、これにはいくつか説があります。
一つは、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)の別名、重炭酸ナトリウム(Sodium Bicarbonate)です。
この中で「Bi」は、二つとか二重といった意味になります。(英語で自転車をBicycle(バイシクル)と言いますが、それと同じ「Bi」です)
そこで、重なった曹達ということで「重曹」ということになりました。

別の説では、炭酸ナトリウムよりも、高い密度がある、重たい質量であるからだと言います。
漢字に当てはめる時には、特に重の方が重たいとか、重なっているというのは化学式にも関係しています。

どちらにしろ、化学式の呼び方や意味に由来したものであることがわかります。
化学式がそのまま日本名化した珍しい例です。

重曹はどら焼きに最適

重曹は別名でベーキングソーダとも言います。
この言葉にすると、焼き菓子でも使用されていることがわかりますが、ベーキングパウダーとは少し違います。
使い方としては、焼き菓子を炭酸の力で膨らますのですが、酸性の材料(ヨーグルト、チョコレート、はちみつ)の時に使用されるものです。
どら焼きなどは、重曹が最適です。

重曹は手にも優しい洗剤

重曹は弱アルカリ性の物質です。
シンクやガス台にこびりついている脂は酸性ですから、弱アルカリ性の重曹を使うことで中和され、汚れ落ちが良くなる効果があります。

口に入っても安全であり、手にも優しい洗剤として人気があります。
石鹸にも使用ができ、赤ちゃんのおもちゃの洗浄などにも適しています。
また、消臭、吸湿作用もあります。
部屋だけではなく、下駄箱やタンスにも消臭剤としての用途もあります。
お掃除の洗剤としても安全で使用ができます。

食用と洗剤用の違いは?

食用と洗剤用の違いは、純度とキメの細かさ、そして添加物の違いです。
洗剤用の方が純度が低く、低価格で販売されています。
しかし、安いからといって洗剤用(掃除用)として購入した重曹を料理に使いまわすのは控えた方が良いでしょう。
食用にはあくまでも食用、しかも国産と明記されている国内メーカーの品を選んで使用するのがベストです。

逆に、食品添加物と明記されている質の良い重曹で赤ちゃんのおもちゃを洗ったり、脂落としのために洗剤用として少し使いまわすという贅沢な使い方ならば問題はありません。
安全のためには国産の質の良い重曹を購入しておきたいものです。

created by Rinker