お猪口(ちょこ)の由来は?

日本酒を飲む時に用いる小ぶりなお椀。
最近は「ぐい飲み」という呼び方もありますが、おちょこという呼び方に親しみを持っている人も多いのでは?
おちょこはお猪口とも書きますから、いのしし年の2019年にはピッタリですね。
でも、お猪口って、猪の口と書きますが、猪の口ってお椀のような形をしているのでしょうか?

形ではなく言葉の意味から

修を飲むお椀とは関係なく、単に猪口と書いた時の読み方は「ちょく」です。
「ちょく」の意味はちょっとしたもの、大した意味もないもの、小さな器というのが、語源です。
猪の口は当て字と言われています。
生意気という意味の「猪口才(ちょこざい)」という使い方もされます。
時代劇で使われる「猪口才な奴め」というセリフでお馴染みですね。

酢のものや和え物を入れる器

実はこの器は、本膳料理で酢の物や和え物を入れていたとの説があります。
お酒を入れて飲むようになったのは江戸時代からと言われています。
本来、お酒はもっと口の広い盃を使っていました。
それが、実用的なおかずの器である猪口で呑む習慣が付いたとのこと。
戦のない平和な時代が続いた江戸の人々は、平穏な暮らしの中にちょっと変化をつけて、いつもと違う感覚を味わうことを楽しみにしていました。
和え物を入れていた器を敢えて酒呑みに用いるというのも、ちょっとした粋な趣向と感じられたのかもしれませんね。
しかし、猪口が猪には関係なく、本来はおかずの器だったというのは意外なことです。

おちょこの蛇の目模様

現代では、おちょこはお酒を呑む器として定着しています。
徳利とのセットで、日本酒といえばおちょこ(ぐい飲み)を用いるのが定番です。
形も色も様々ですが、日本酒のイメージに合うのが白いお猪口に蛇の目模様です。
蛇の目模様というのは、白いおちょこの底に青い輪が二重に描かれたものです。
蛇の目模様のおちょこは100均ストアで買える安いものから、1万円を超えるちょっと高級なものまでいろいろ。
質感や色合いでいえば、千円程のおちょこがちょうどいい感じで楽しめると思います。

日本酒の黄色みと蛇の目の青

日本酒は、元来無色透明ではなく黄色みがかっています。
その黄色を引き立てるために、白地に青が有効だと言います。
色の補色関係で、黄色と青色のコントラストが鮮やかに感じられ、お酒の味と共に色も楽しめるというわけです。
利き酒の際にも、色の確認のためにも統一感が出るとも言われています。
「このお酒は少し黄色がでていますね~」なんて会話が交わされる感じです。

現代では日本酒といえばおちょこで飲むのが定番になっていますが、中には今でもお酒は盃派という方もいることでしょう。
時代劇でも身分の高い武士やお公家さんの世界では盃で飲んでいる光景を目にしますね。
神式の結婚式の三三九度は今も盃で行いますし、大相撲の優勝力士が口にするお酒も盃ですね。