カトリックってどういう意味?

子供たちも恋人たちも、みんなが楽しみにしているクリスマス。
そのクリスマスはキリスト教にまつわるお祭りとして知られていますが、キリスト教には歴史の授業で誰もが教わる「カトリックとプロテスタント」の二大流派が存在します。

カトリックってどういう意味?

プロテスタントは、宗教改革でローマ教会に「抵抗、抗議」して立ち上がった人たちの流れ、という意味で英語の「protest」にも通じる意味から来ているというのはなんとなくわかるのですが、では、「カトリック」の意味は?と問われると、何人の人が答えられるでしょうか?

信仰にまつわる話は抜きにして、単純に言葉の由来が知りたくて調べてみました。

正式名称は「ローマカトリック」

カトリックの正式名称は、ローマカトリックです。
ローマ教皇を頂点として世界最大12億人の信者が存在しています。
英語表記では「catholic」なので、日本のメディアでは「カソリック」と書かれたり発音されたりすることもありますが、発音が違うだけで中身は同じです。

ローマカトリックでは教会が最大の権限を持ち、階級組織が存在しています。
教会の中ではもちろんのこと、信者の間でも厳しい規律が守られています。
時代と共に徐々に変化はしていますが、基本的には中世ヨーロッパを支配した精神世界と階級組織がいまもそのまま維持されていると考えていいでしょう。

カトリックの言葉の意味

カトリックの語源はギリシア語の「 katholikos 」。普遍的、世界的、全体的という意味です。
教会の教えに初めてこの言葉(概念)が導入されたのは107年頃(2世紀初頭)だと言われています。
3世紀には教会の特徴を表す言葉として「カトリック」という表現が使われるようになります。

歴史的には1054年の東方正教会の分離に対して、西方教会(ローマ教会)が普遍・正統派を主張してカトリックと称したことに由来します。

ちなみに、東方正教会も同様にカトリック(katholikos、普遍性)を特徴としていますが、こちらはカトリックを呼称とはせず、「正しく神を讃美する」ことを意味するオーソドックス(ギリシア語でオルソドクシア)の名を以て自己の教会の名称としたため、日本語で「東方正教会」と訳されています。

ローマ教会の「登録商標」的なもの

つまり、「カトリック」という概念はローマ教会固有のものではなく、他のキリスト教の宗派・教会にも共通しているということです。
ただし、ローマ教会が「ローマカトリック」を名乗っているため、ローマ教会とは流れを異にする教会では名称としての「カトリック」は使われないということになります。

非常にくだけた言い方をすると、カトリックはローマ教会の登録商標的な呼び名と理解していいと思います。

カトリックという概念

カトリックは公同的とも訳すことができます。

「公同」というのは日常的には耳慣れない言葉ですが、キリスト教では大切な概念です。
聖書が称する同じ1人の神を信じる、同じ信仰を持つ共同体という意味です。
公同を奉じる主義思想は カトリシズムと呼ばれています。

プロテスタントとは?

16世紀の宗教改革において、カトリックの階級組織や厳しい規律、それに免罪符に象徴される教会の腐敗に異を唱えて立ち上がった人々を指す言葉がプロテスタントです。
カトリックがローマ教皇を頂点としたピラミッド型の組織であるのに対して、プロテスタントでは「神のもとでは皆平等」と考え、カトリックに対抗する「抗議した宣言(プロテスタティオ)」を打ち立てました。
この言葉はそもそもは「証言する」「抗議する」のラテン語の「プロテストー“protestor”」という言葉に由来しています。
そこから、プロテスタントの言葉が生まれました。

神父と牧師の違いは?

神父はカトリック教会や正教会の聖職者の総称です。
カトリックは前述の通り、階級制度が今も厳格に守られているので、一般的に神父といわれる人たちの中でも階級が存在します。
頂点はローマ教皇ですが、そこに至る前の一般的に神父と呼ばれる人たちは、それぞれ正式名称では上から司教、司祭、助祭となります。
カトリックの神父は男性しかなることができず、生涯独身です。
信徒とは全く違う立場になります。

一方、牧師はプロテスタントの教職者で、こちらは正式名称です。
牧師は信徒の代表者的な存在であり、聖職者ではなく教職者です。
ですから、結婚も自由で、女性がなることもできます。
階級も存在しません。

キリスト教の祝祭も日本では単なるお祭り騒ぎ

我々日本人はクリスマスやハロウィーン等、単なるイベントとして楽しんでいますが、その背景にある宗教的事柄まで目を配ると、軽々しくお祭り気分で騒ぐのは申し訳ないような気分になりますね。

ちなみに、敬虔なカトリック信者の多いスペインでは、今でもクリスマスよりも1月6日の「東方三賢人の日」の方が盛大にお祝いされるそうです。
「東方三賢人の日」というのは、キリストの誕生を知った三人の賢人が東の国からはるばるお祝いに駆けつけたとされる日です。救世主キリストの誕生を祝うために、スペインでは祝日とされ、各地でパレードが行われます。
クリスマスにもらったプレゼントを東方三賢人の日まで開けずに楽しみに取っておく子供たちもいるそうです。
中には、クリスマスと東方三賢人の日と2回プレゼントをもらうちゃっかり者もいるのだとか。

もしかしたらそのうち、宗教的な背景を考慮せず、「情熱の国スペインで盛り上がってるから」という浅薄な理由で日本でも東方三賢人の日がイベントになったりするかもしれませんね。

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