強力わかもとは何がそんなに強力なの?

「強力わかもと」と言うと昭和な人たちにはお馴染みの藥です。
1982年公開のSF映画『ブレードランナー』の冒頭のシーンにも何故か巨大ネオンの広告塔が登場してびっくりした記憶がありますが、さて、その効能は?と問われれば、すぐに答えられる人も少ないのではないでしょうか。

強力わかもとは今も健在

時代の移り変わりと共に多くの商品が消えていく昨今、強力わかもともすでに製造中止になっているのでは?と心配しましたが、今もしっかり健在でした。
製造元のわかもと製薬は昭和8年(1933年)設立。
「強力わかもと」の他にもオーラルケア商品や目薬、わかもと整腸薬、顆粒わかもと等を製造販売する東証一部上場企業です。

創業当時のわかもと製薬の主力商品であった栄養剤(ビール酵母製剤)「わかもと」が誕生したのは、会社の設立に先立つ昭和4年(1929年)のこと。
昭和30年(1955年)に乳酸菌が加えられ、整腸作用が高められました。
昭和37年(1962年)には各種ビタミンの配合や乳酸菌の倍増など、成分の強化がはかられ、商品名も「強力わかもと」としてリニューアル。

「消化・整腸・栄養補給の3つの働きをもった胃腸薬」として現在も広く販売されています。
わかもと製薬 強力わかもと

昭和の男性たちを魅了した絶妙なネーミング

製造元のわかもと製薬では上記のように胃腸薬としての効能を前面に打ち出していますが、実際のところは栄養補給・滋養強壮のサプリメントとして愛用している人が多いという話も聞かれます。
商品名の「強力」と「わかもと」が男性の機能回復・精力増強的なイメージに結びつきやすいという一面もあったと聞きます。
なにしろ「強力」な「わかもと」ですからね。昭和のお父さんたちにモーレツにアピールするものがあったであろうことは容易に想像されます。

そんな歴史ある商品である「強力わかもと」ですが、昭和から平成へと時代が移わる中で様々な栄養補給・滋養強壮をうたったライバル商品が発売されていく中、売上は右肩下がり。
モーレツ社員たちを魅了したネーミングも、カタカナ表記のおしゃれなサプリが受ける中で逆に存在感を失いつつありました。

ところが、そんな「風前の灯」的な状況が2012年頃から一転。
なぜか売上がぐいぐい伸びているというのですから驚きです。
「強力わかもと」にいったい何があったのでしょう?

売り上げが急上昇した理由

その理由は、アジアからの観光客による「爆買い」です。
中でも強力わかもとは台湾からの観光客に大人気で、秋葉原の家電量販店、首都圏のドラッグストアではまとめ買いされてすぐに売り切れるほどの人気商品になっています。

台湾での強力わかもとのネームバリューは断トツ。胃腸薬のトップブランドとして知られています。
しかし、人気が高いだけに価格も高いので、比較的安く購入できる日本に来た観光客は、先を争って強力わかもとを買い求めるのだといいます。
彼らが手にしている買い物ガイドには、強力わかもとの買えるお店が掲載されているのだとか。