いなせの本当の意味? 由来は何?

「いなせだね~」というと、「粋な男性」を褒める時にかける言葉です。
しかし、言った本人も本当の意味は知らないけど、なんとなく良い響きの言葉だから言ってみた、くらいの感じだったりするのでは?
悪い言葉ではないですから、罪はないのですが、せっかくだから「いなせ」の本当の意味を確認しておきましょう。

いなせ=鯔背

「いなせ」は漢字で書くと「鯔背」です。
漢字で表現すると「?」です。
鯔は「いな」(ボラ)という魚です。
それに背が付いて「いなせ」。言葉そのままだと、「あなたはボラの背中のようだ」と言ってることになります。
これが褒め言葉になるのにはちゃんと理由があります。

なぜボラの背中が良いのか?

いなせの言葉ができた江戸時代には、「鯔背銀杏(いなせいちょう)」という髪型が日本橋の魚河岸で働く若者たちの間で流行していました。
もともと、髪型で銀杏(いちょう)は町人の髷の形で、後頭部が銀杏の葉に似た形になっているのでこの名が付きました。
髷に結った髪の末端はたばねて頭頂部に載せ“ちょんまげ”になります。
これを少し片寄りにして曲がって載せる「すこし崩れた感じ」。
それが、ボラの背に似ていたことから鯔背銀杏と呼ばれるようになりました。

実は女性も?

鯔背銀杏は男性のチョンマゲでした。
女性も丸髷をきちんと丸めるのではなく、少し形を崩したり、小さくして工夫してまとめることを鯔背風の髪型として流行っていたと言います。
どちらかというと、いなせというとイキが良い男衆の言葉ですが、江戸時代には女性の髪型でもそう言われることがありました。
かっこよい人に対して、流行の先端を走っている人の褒め言葉ということです。

どんな時に使うのが正しいのか?

粋である。
爽やかである。
勢いがある。
こざっぱりしている。
現在のいなせの使い方としては、上記の様子での声掛けが良いでしょう。

江戸っ子だからという人もいますが、それも古典的な江戸の情緒が出るのならありでしょう。