イールドカーブコントロール(YCC)は、中央銀行が短期金利と特定の長期金利(日本では主に10年国債利回り)の目標水準を示し、その達成のために国債の買い入れ等で市場金利全体(利回り曲線)を誘導する政策。
仕組み
短期は政策金利で操作し、長期は国債買い入れなどで特定年限の利回りを所定水準に近づける。
必要に応じて、指定した利回りで無制限に国債を買うオペ(指し値オペ)を用意し、長期金利の上振れを抑える。
主な目的
超低金利・マイナス金利でフラット化したイールドカーブを適度にスティープ化し、金融機関収益の過度な悪化を避けつつ、緩和効果を持続させる狙いがある。
また、「量」から「金利」へ政策の重心を移し、所望の金利水準を直接的に示すことで、実体経済への金利経路を安定させることが意図される。
期待される効果
実質金利の低下と緩和的な金融環境の維持を通じ、需要下支えや円安圧力の増幅といったマクロ効果が指摘される。
10年国債利回りなど長期金利を低位に保つことで、企業や家計の資金調達コスト(社債・住宅ローン等)の安定・低下に寄与する効果がある。
中央銀行の推計では、導入しない場合に比べて10年利回りをおおむね1%程度低下させたとの分析がある。
副作用・留意点
人為的に利回りを抑えることで価格発見機能が損なわれ、国債市場の流動性・機能低下や歪みが生じやすくなる点に注意。
金利上昇局面では目標維持が投機を誘いやすく、国債買い入れ拡大により中央銀行の保有比率が高まり市場参加者の多様性が低下する懸念がある。
将来の調整(柔軟化・撤回)時には長期金利や貸出金利の上振れが起こり得るため、金融環境の変化に注意が必要だ。
