立沢鴫

言葉

ペテン師と詐欺師に違いはあるの?

ペテンと詐欺、どちらも人を騙す行為ですが、詐欺の方は犯罪に直結するイメージなのに対して、ペテンはその言葉の響きからなんとなくほのぼのとした印象を受けます。両者の間に違いはあるのでしょうか?言葉の響きから来る印象の差は大きいどちらも騙すことには変わりがないので、実質的に違いはないと言ってしまえばそれまでですが、敢えて違いをあげるとすれば、字面からくる印象の違いが大きいといえるのではないでしょうか。詐欺師と書くと、文字通り、計画的に人を騙し欺いて財産をかすめ取っていくダークな世界の住人がイメージされます。結婚詐欺やオレオレ詐欺のように、行為そのものが悪意に満ちている場合に詐欺と表現するのがふさわしいように思えます。一方、ペテン師と書くと、なんとなくユーモラスな雰囲気を漂わせる親しみやすそうな人物に思えてきます。ペテンにかける、という表現からも、ペテン師は舌先三寸で相手を騙すけれど、騙された方も間が抜けている、騙された側が後で気づいて地団太踏んで悔しがる、そんな昔のコメディ映画のような牧歌的な空気が感じられます。ただ、前述の通り、どちらも人を騙す行為であるのは変わりがないので、どちらが良い悪...
いまどき

バズるってどういう意味?

SNSを見ていると「バズる」という表現をよく目にしますが、バズるってどういう意味なのでしょう?語源は蜂がブンブン飛び回る音「プログラムにバグが見つかった」という時に使われる「バグ=bug」は虫のことなので、それに語幹の似ている「バズる」も虫に由来するのかと思いきや、こちらはただの虫ではなく、蜂、それも蜂がブンブン飛び回る音が語源でした。「ブンブンいう、ブンブン飛ぶ、忙しく動き回る、がやがや言う、うわさする、ざわつく、ざわめく」といった意味の英語「buzz」は、特定の話題についてSNSを通じてたくさんの人が噂をしたり、意見を述べ合う状態を表すネットスラングです。若い人だけではなく、いい年をしたお父さんお母さん世代でもSNSのチェックに忙しい昨今では、ちょっとした話題で簡単にバズっちゃうというわけです。マーケティングの手法もともとはバズマーケティングという広告手法の一つです。意図的にバズる状態を作り出し、それを利用してモノやコトの知名度・話題性を高めて売り上げにつなげようという狙いです。現在、バズらせる手段として有効なのが、スマホ版の口コミツールであるTwitterやInstgramです。...
言葉

ニベアってどういう意味?

スキンケアの定番アイテムとして子供から大人まで愛されているニベア。低価格でありながらお肌すべすべの効果抜群ということで人気のニベアですが、そのニベアと、高級美容クリーム「ドゥ・ラ・メール」の成分が似ているということで話題になっています。成分が似ているだけならともかく、その価格差がなんと50倍というのですから、ちょっとした論争にまで発展しそうな勢いです。ニベアはドイツ生まれニベアはもともとドイツの化粧品メーカー、バイヤスドルフ社の化粧品ブランドです。1900年にニベアの元となる乳化剤が発明され、1911年に新ブランド「ニベア」として発売されました。日本では、バイヤスドルフ社の日本法人と花王による合弁会社ニベア花王(出資比率60:40)が製造販売しています。ニベアは、ラテン語で「雪のように白い」を意味するniveus/nivea/niveumに由来します。確かにニベアというと真っ白で、それがまた肌にやさしいイメージを与えてくれます。価格も安いので、気兼ねなく使用できるのも人気の秘密です。成分は高級ブランドとほぼ同じ?そのニベアの成分が、高級美容クリーム「ドゥ・ラ・メール」とほぼ同じという噂...
言葉

キャベジンという名前の由来は?

「食べ過ぎ、飲み過ぎによる胃のもたれに…」これはテレビCMでお馴染みの胃腸薬キャベジンのキャッチフレーズです。繰り返し放送されるCMと、覚えやすく個性的な名前で誰もが知っている国民的な胃腸薬として長年親しまれているキャベジンですが、キャベツを連想させるこの名前はどこから来ているのでしょう?整腸作用をもたらすMMSC胃腸薬のキャベジンの正式名称(2019年現在)は「キャベジンコーワα(アルファ)」です。昭和35年(1960年)に「キャベジンコーワ錠」として販売が開始されて以来、「キャベジンコーワS」「新キャベジンコーワS」と変遷を重ね、平成26年(2014年)から現在の名称「キャベジンコーワα(アルファ)」になりました。胃腸薬「キャベジン」の主な効能は、「食べ過ぎ・飲み過ぎによる胃のもたれを改善する」こと。この「胃を正常な状態に整えてくれる」整腸薬としての効能は、主にMMSC(メチルメチオニンスルホニウムクロリド)という成分によるものです。MMSC(メチルメチオニンスルホニウムクロリド)は、以前は「ビタミンU」と呼ばれていたビタミン様物質です。キャベツの搾り汁から発見MMSCは、キャベツ...
言葉

シーザーサラダ誕生に関するいくつかの謎

一昔前はレストランで食べるサラダといえば、ポテトサラダかシーフードサラダが定番でしたが、いまやどこへ行ってもサラダといえばシーザーサラダです。名前を口にするだけでリゾート気分なにしろ「シーザーサラダ」という言葉の響きからくるおしゃれ感がハンパありませんからね。シーザーサラダと発するだけで、近所のファミレスがあっという間に海辺のリゾートに早変わり!ってくらいのトロピカル効果満点です。何が入っているのか、ドレッシングの味付けがどんな具合なのかもいまいち定かでない人も中にはいるかもしれませんが、レストランでも居酒屋でもとりあえずシーザーサラダを注文しておけばOKでしょう、みたいな風潮すら感じられる今日この頃です。ちなみに、シーザー「ス」サラダではなく、シーザーサラダが正式(?)名称です。英語表記では「 Caesar Salad 」です。メキシコ生まれのアメリカ育ちシーザーサラダが誕生したのは1924年。7月14日と、日付まで特定されています。場所は、メキシコ北西部の都市ティファナのホテル「シーザー・パレス」。ティファナ(ティフアナと表記する場合もあり)は米国カリフォルニア州と国境を接する地域...
言葉

カトリックってどういう意味?

子供たちも恋人たちも、みんなが楽しみにしているクリスマス。そのクリスマスはキリスト教にまつわるお祭りとして知られていますが、キリスト教には歴史の授業で誰もが教わる「カトリックとプロテスタント」の二大流派が存在します。カトリックってどういう意味?プロテスタントは、宗教改革でローマ教会に「抵抗、抗議」して立ち上がった人たちの流れ、という意味で英語の「protest」にも通じる意味から来ているというのはなんとなくわかるのですが、では、「カトリック」の意味は?と問われると、何人の人が答えられるでしょうか?信仰にまつわる話は抜きにして、単純に言葉の由来が知りたくて調べてみました。正式名称は「ローマカトリック」カトリックの正式名称は、ローマカトリックです。ローマ教皇を頂点として世界最大12億人の信者が存在しています。英語表記では「catholic」なので、日本のメディアでは「カソリック」と書かれたり発音されたりすることもありますが、発音が違うだけで中身は同じです。ローマカトリックでは教会が最大の権限を持ち、階級組織が存在しています。教会の中ではもちろんのこと、信者の間でも厳しい規律が守られています...
言葉

お猪口(ちょこ)の由来は?

日本酒を飲む時に用いる小ぶりなお椀。最近は「ぐい飲み」という呼び方もありますが、おちょこという呼び方に親しみを持っている人も多いのでは?おちょこはお猪口とも書きますから、いのしし年の2019年にはピッタリですね。でも、お猪口って、猪の口と書きますが、猪の口ってお椀のような形をしているのでしょうか?形ではなく言葉の意味から修を飲むお椀とは関係なく、単に猪口と書いた時の読み方は「ちょく」です。「ちょく」の意味はちょっとしたもの、大した意味もないもの、小さな器というのが、語源です。猪の口は当て字と言われています。生意気という意味の「猪口才(ちょこざい)」という使い方もされます。時代劇で使われる「猪口才な奴め」というセリフでお馴染みですね。酢のものや和え物を入れる器実はこの器は、本膳料理で酢の物や和え物を入れていたとの説があります。お酒を入れて飲むようになったのは江戸時代からと言われています。本来、お酒はもっと口の広い盃を使っていました。それが、実用的なおかずの器である猪口で呑む習慣が付いたとのこと。戦のない平和な時代が続いた江戸の人々は、平穏な暮らしの中にちょっと変化をつけて、いつもと違う感...
言葉

片栗粉とコーンスターチの違いは?

料理をする上で、とろみの代表と言えば片栗粉です。しかし、たまにその役目がコーンスターチになる場合があります。コーンスターチも片栗粉と同様とろみをつける事ができます。では、その違いは何なのでしょう?現在の片栗粉はジャガイモが原料片栗粉は、もともと日本の山野に自生する多年生草本のカタクリ(ユリ科)の根からとった良質なデンプンのことでした。それが同じデンプンということで、現在ではジャガイモを原料として作られたデンプンに「片栗粉」という名称が使われています。ですから、現在の片栗粉はじゃがいものデンプン質と覚えておくといいでしょう。英語でも「potato starch」と言います。starch はデンプンのことです。じゃがいもをスライスして、しばらく水に付けておくと、下に白い物質が沈殿します。これが、片栗粉です。コーンスターチはトウモロコシ一方、コーンスターチはトウモロコシのデンプン質です。英語では「corn starch」。コーン(トウモロコシ)のデンプン、そのままですね。トウモロコシなのにどうして黄色じゃないの?という声も聞こえそうですが、黄色いのはトウモロコシの皮。コーンスターチはトウモロ...
言葉

釣果ゼロをボウズというのは何故?

釣りに行って全く魚が釣れない場合、「ボウズだったわ~」とよく言います。このボウズの由来は何なのでしょう?ボウズには諸説ありなぜボウズというのか?諸説ありますが、いくつかひろってみました。坊主には毛がないから坊主には「毛がない」=「食い気がない」と表したもの。食べられる魚の収穫がないからという意味です。殺生をしない仏教では殺生が禁じられています。仏に仕えるお坊さんももちろん殺生禁止。釣りに行っても生きている魚を釣り上げることができないことは、魚を殺さずに済んだ、という解釈です。殺生をしない=坊主、というわけです。儲けがない釣果がないということは、今日の「儲け」がない。「儲けがない」が「もう毛がない」となり、「毛がないのは坊主」という意味になったとする説です。ボウズの同義語で「オデコ」という表現もありますが、これも「毛がない=オデコ」になったと言われています。釣りの楽しみ方は人それぞれ同じ釣り好きでも、ベテランになると自分の狙った魚以外はカウントしないというこだわりを持つツワモノもいます。そんなツワモノの場合は、ボウズ=釣果ゼロではなく、自分が釣りたい魚を釣れない時だけボウズと表現すること...
言葉

重曹って何?

重曹と書いて「じゅうそう」と読みます。スーパーへ買い物に行くと小麦粉やホットケーキミックスと同じ棚に並んでいるので、食材の一つだということはわかりますが、なんとなく手に取りづらい印象を受ける名前です。文字面だけ見ると、工場で使われる化学物質のようにも見えてきます。いったい重曹って何なのでしょう? なぜこんな重苦しい名前が付いているのでしょう?重曹は万能選手重曹は食品としてはあく抜きのために使われたり、ふくらし粉・ベーキングパウダーの代用としても使われます。口に入れても問題のない物質です。それと同時に、シンクやガス台の汚れ落としのためにも使われます。食用としても、洗剤としても大活躍の万能選手です。重曹の正体は炭酸水素ナトリウム。天然の無機質物質です。鉱山から産出される物質であり、ガラスを作る時の副産物としても精製されます。国産の重曹でAGC(旭硝子)製のものが目立つのもこのためです。体内にも重曹と同じ物質は存在しています。例えば、唾液の中にも炭酸水素ナトリウムが含まれています。だから、重曹は口に入れても安全なんですね。どうして「重曹」という名前なの?では、なぜわざわざ「重曹」なんて重苦し...
言葉

四十肩、五十肩ってどんな肩?

中年以降の肩の痛みがあると、「四十肩だから・・・」なんていう会話が交わされます。「四十肩なら仕方ないよね~」と適当に話を合わせてその場をやり過ごしても、ほんとは良くわかっていない人も多いのでは?医学的にはどうなの?四十肩、五十肩は肩関節周囲炎との病名が付いています。40歳になって肩が痛いから、何ていうことではなく、肩の関節が痛みがあれば、年齢も関係なく肩関節周囲炎ということになります。四十肩も五十肩も、どちらも同じ症状です。こんなことはない?朝、服に着替える時に肩が痛くて腕が上がらない。突然、肩周辺に強い痛みを感じる。実は、このような症状が、四十肩、五十肩のサインであることが多いです。肩に炎症を起こすようなことをしていないのに、もともと僅かな痛みがあり、それがだんだん痛くなってきた。そう言えば、私40歳だわ、なんて言うときには、四十肩、五十肩になりかけかもしれません。原因は何?明確な原因は解明されていません。考えられるのは、加齢に伴う肩関節付近の筋肉の低下、組織が固くなって行く、縮むなどの変化です。そして、生活習慣(慢性的な運動不足)、ストレス、ホルモンバランスなども要因だと考えられて...
言葉

花魁 読めるけど意味も由来もわからない不思議な言葉

吉原は花街として長い歴史を誇る地域です。遊郭という仕組みが消滅した現代でも、吉原は男たちの欲望を受け止める特別な場所として甘美な響きを放ち続けています。「花魁」は謎に包まれた言葉江戸時代、その吉原の遊女の中でも最高位にランクされていたのが「花魁」です。花魁と書いて「おいらん」。読み方は多くの人が知っているけど、その意味や由来は不明という不思議な言葉です。遊女の最高位を「おいらん」と呼ぶことはわかっていても、何に由来するのか? そもそも「おいらん」という言葉にどんな意味があるのか? 確かなことは何一つわかっていないのが実情です。ただ18世紀中頃、宝暦の頃(1851~1764)に、それまで遊女の最高位であった「太夫(たゆう)」が廃止され、かわりに「散茶(さんちゃ)」と呼ばれた遊女の中から、遊郭の中でも地位の高い「呼び出し」(人気と稼ぎが高く、他の遊女とは別格の扱い)が「おいらん」と呼ばれるように変化した、という辺りは定説となっています。「呼び出し」は禿と新造を従えて茶屋で客を迎える高級遊女。吉原で太夫が廃止された後、その地位にとって代わる高級遊女です。実質的には「太夫」→「呼び出し」→「花...